
私たちが普段乗っている車やバイク、あるいは飛行機や船に至るまで、その「動力源」となっているのがエンジンです。エンジンは、燃料を燃やして発生させた熱エネルギーを、回転する力(運動エネルギー)に変換する、まさに乗り物の「心臓部」と言えます。
しかし、「ガソリンエンジン」や「ディーゼルエンジン」、「ハイブリッド」など、様々な種類があって違いがよく分からないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、エンジンの種類を「動力発生の原理」と「構造・燃料」の2つの観点から分かりやすく解説します。
エンジンは、燃料を燃焼させる場所によって大きく「内燃機関」と「外燃機関」に分けられます。
特徴: シリンダーなどの機関内部で燃料を燃焼させ、その燃焼ガスを直接利用して動力を取り出します。
用途: 自動車、バイク、飛行機など、現在広く普及しているほとんどのエンジンがこれに該当します。
主な種類: ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、ロータリーエンジン、ガスタービンエンジンなど。
特徴: 機関外部で燃料を燃焼させ、その熱を水や空気などの「作動流体」に伝え、その作動流体の力で動力を得ます。
用途: 蒸気機関車、スターリングエンジンなど。現代の自動車にはほとんど使われていません。
現代の自動車の主役である内燃機関は、使用する燃料や動力を得るための構造によってさらに細かく分類されます。
シリンダー内でピストンが往復運動し、それをクランクシャフトで回転運動に変える、最も一般的な方式です。
燃料: ガソリン
点火方法: スパークプラグで火花を飛ばして、圧縮された混合気(空気とガソリン)を強制的に燃焼させます。
特徴:
振動や騒音が比較的少ない。
高回転域までスムーズに回り、高出力を得やすい。
乗用車やバイクに最も多く採用されています。
多くのものが「4ストローク(4サイクル)」(吸気・圧縮・燃焼・排気)で作動します。
燃料: 軽油
点火方法: 吸入した空気をピストンで非常に高く圧縮し、その熱(高温)で軽油を自己着火(自然発火)させます。
特徴:
ガソリンエンジンよりも熱効率が良いため、燃費性能に優れています。
低速でのトルク(ねばり強さ)が強く、重い荷物を運ぶトラックやバス、SUVに多く採用されています。
排出される窒素酸化物(NOx)やPM(粒子状物質)への対策技術が進んでいます。
レシプロエンジンのようなピストンの往復運動がなく、おむすび形(三角むすび型)のローターがシリンダー内部を回転しながら、吸気・圧縮・燃焼・排気を行います。
特徴:
構造がシンプルで、レシプロエンジンに比べて小型・軽量で、振動も少ない。
同じ排気量でも高出力を発揮しやすい。
かつてマツダが世界で唯一量産し、スポーツカーなどに搭載していました。
レシプロエンジンは、シリンダー(気筒)がどのように配置されているかによっても分類されます。
| 分類 | 特徴 | 主な用途 | |
| 直列型 (Inline) | シリンダーが一列に垂直または傾斜して並んでいる。構造がシンプルで整備性が良い。 | 多くの小型〜中型乗用車(4気筒など) | |
| V型 (V-type) | シリンダーがV字型に左右2列に配置されている。エンジンの全長を短くできる。 | 大排気量の高級車やスポーツカー(V6、V8、V12など) | |
| 水平対向型 (Boxer) | シリンダーが水平に左右対称に配置されている。 | スバル車やポルシェ車に採用例が多い。 | |
| 特徴 (水平対向型): エンジン全体の重心が低くなり、走行安定性(コーナリング性能など)に有利です。 |
近年、環境問題への意識の高まりから、「電動化」が進んでいます。
ガソリンエンジンなどの内燃機関に電気モーターを組み合わせた車です。
発進・加速時など、エンジンの苦手な領域をモーターでアシストし、燃費を大幅に向上させます。
走行状況に応じてエンジンとモーターを効率よく使い分けるのが特徴です。
エンジンを持たず、バッテリーに蓄えた電力とモーターだけで走行する車です。
走行中に排出ガスが一切出ない(ゼロエミッション)。
エンジンがないため、静かでスムーズな走行が可能です。
エンジンは、燃料の種類や構造、シリンダーの配置によって、それぞれ独自の個性を持っています。
| エンジンの種類 | 特徴 | 主な用途 |
| ガソリン | 振動が少なく、スムーズで高回転が得意。 | 一般的な乗用車 |
| ディーゼル | 熱効率が高く、燃費が良い。低速トルクが強い。 | トラック、バス、SUV |
| ハイブリッド | エンジンとモーターで、燃費と環境性能を両立。 | 環境対応車全般 |
あなたの車がどのタイプのエンジンを搭載しているか調べてみると、その車の設計思想や特徴がより深く理解できるかもしれません。